シガーソケットを使わない裏取りのメリットと仕組み
ドライブレコーダーを自分で取り付ける際、最も手軽なのは付属のプラグをシガーソケットに差し込む方法です。しかし、この方法には配線がダッシュボードを這うため見栄えが悪いスマートフォンの充電など他の用途にソケットを使えなくなるというデメリットがあります。そこで推奨されるのが、車両のヒューズボックスから直接電源を確保し、配線を内張りの裏側に隠す裏取り(うらどり)と呼ばれる取り付け方法です。
裏取りを行うことで、車内は純正品のようにすっきりとした見た目になり、配線が足に引っかかるなどのリスクも解消されます。また、駐車監視機能を備えたドライブレコーダーを取り付ける場合は、エンジン停止中も電力を供給する必要があるため、このヒューズボックスからの電源取得(常時電源とACC電源の両方)が必須作業となるケースがほとんどです。難しそうに感じるかもしれませんが、電気の基本ルールと正しい手順さえ守れば、特別な資格がなくても安全に行うことができます。
作業に必要な工具と準備
作業を始める前に、必ず以下のアイテムを揃えましょう。まず、車両のヒューズ形状に合った電源取り出しヒューズまたは電源ソケットです。車のヒューズには平型ミニ平型低背(ていはい)の3種類があり、車種や年式によって異なります。間違った形状のものは物理的に差し込めないため、事前に自分の車のヒューズボックスを開けて形状を確認するか、取扱説明書でチェックしておく必要があります。
次に必須となるのが検電テスターです。これは配線に電気が来ているかどうかを光や音で知らせてくれる道具で、どのヒューズがアクセサリー(ACC)電源なのかを特定するために使います。数百円から千円程度で購入可能です。その他、内張りを剥がすための内張り剥がし、ボルトを緩めるためのレンチ(スパナ)、配線をまとめる結束バンド、余った配線を保護するスポンジテープなどを用意しておくと、作業がスムーズに進みます。
検電テスターを使ったACC電源の探し方
ヒューズボックスは、多くの車種で助手席のグローブボックス裏や、運転席の足元付近に設置されています。ヒューズボックスの蓋には、どの位置のヒューズが何の役割をしているか(例:CIGAR、WIPER、AUDIOなど)が記載された配置図があります。
ドライブレコーダーの電源として狙い目なのは、エンジンのスイッチをON(またはACC)にした時だけ電気が流れるアクセサリー電源(ACC)です。一般的にはCIGAR(シガーソケット)やACC(アクセサリー)、AUDIO(オーディオ)、MIRROR(電動ミラー)などのヒューズがこれに該当します。逆に、絶対に抜いてはいけないのが、エアバッグ、エンジンコントロールユニット(ECU)、ブレーキランプなどの走行・安全に関わる重要なヒューズです。これらは万が一のトラブル時に重大な事故につながる恐れがあるため、触れないようにしてください。
検電テスターのクリップを車両の金属部分(ドアのヒンジや未塗装のボルトなど)に挟んでボディアースを取り、針先をヒューズの金属露出部分に当てて通電を確認します。キーがOFFの時は反応せず、キーをACCに回した時だけ反応するヒューズが、ドライブレコーダーの接続先として適しています。なお、駐車監視機能を使う場合は、これに加えてキーOFFの状態でも常に電気が流れている常時電源(ハザードランプやルームランプなど)も探す必要があります。
電源取り出しヒューズの向きと差し替え
目的のヒューズが見つかったら、ラジオペンチやヒューズクリップを使って元のヒューズを引き抜き、用意しておいた電源取り出しヒューズに差し替えます。この時注意したいのが、ヒューズスロットの電気の流れる向きです。
ヒューズボックスの端子には、バッテリーから電気が来ている電源側と、電装品へ電気が流れていく負荷側があります。検電テスターを差し込み口に当てて確認し、電源取り出しヒューズから出ている配線が、車両側の電源側に来るようにセットするのが一般的です(製品の仕様により異なる場合があるため、必ず購入した部品の説明書に従ってください)。向きを正しく合わせることで、万が一過電流が流れた際に正しくヒューズが溶断し、電装品を守ることができます。
最重要ポイントであるアース接続(マイナス配線)
プラス側の電源確保と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのがアース(マイナス線)の接続です。車の電気は、バッテリーのプラス極から出て電装品を通り、車の金属ボディ(鉄板)を通ってバッテリーのマイナス極に戻る仕組みになっています。ドライブレコーダーのアース線(通常はクワ型端子がついた黒い線)を、車両の金属部分に確実に接触させなければ、電源は絶対に入りません。
アース不良によるトラブルを防ぐ
アース接続には、車両の金属ボディに直接ねじ込まれているボルトを使用します。よくある失敗例として、プラスチックパーツの上に固定されているボルトや、塗装が分厚く塗られているボルトに接続してしまうケースがあります。これでは電気が流れません。
また、ボルトが緩んでいると走行振動で接触不良を起こし、電源が勝手に落ちたり再起動を繰り返したりする原因になります。アースポイントとして適しているのは、すでに他の純正アース線が共締めされているボルトや、ダッシュボード奥の太い金属フレームなどです。塗装がある場合は、紙やすり等で接触面の塗装を少し削って金属面を露出させることで、より確実に通電させることができます。取り付け作業後は、内張りを戻す前に必ずキーを回してドラレコが起動するか動作確認を行いましょう。

